温室効果ガスという言葉をニュースなどで耳にする機会が増えてきたことかと思います。しかし「温室効果ガスって一体何?」「私たちの生活とどう関わっているの?」という疑問に思う方も多いのではないでしょうか?

こちらの記事では温室効果ガスに関する基本や地球への影響、削減のために私たちができることなどを解説します。
環境問題への理解が深まることで、普段の生活の中でも環境に優しい行動が自然とできるようになってきますよ。ぜひ実践してみてくださいね。

温室効果ガスとは

温室効果ガスとは、地球の大気中に存在し、太陽からの熱を保つ性質を持つガスのことです。これらのガスが地球の「温室」のように機能し、地球上の温度を一定に保つことで、私たちが生活できる環境を作り出しています。

温室効果ガスは減らさなければいけない良くないもの というイメージがあるかもしれません。しかし、もし温室効果ガスが全く無かったら地球の平均気温は-19度になると言われています。温室効果ガスは増えすぎていることが問題なのであって、私たちが地球で生きる上では不可欠なものなのです。

産業革命以降、人間の活動によってこれらのガスの濃度が自然のバランスを超えて増加し、地球温暖化の一因となっています。この問題を深く理解するためには、まず、温室効果ガスの種類を知ること、どのような原因でこれらが発生するのかを把握すること、そして現在地球がどのような状態にあるのかを知ることが重要です。順番に解説していきます。


温室効果ガスの種類

温室効果ガスには、いくつか種類があります。中でも最もよく知られているのは二酸化炭素(CO2)で、化石燃料の燃焼や森林伐採など、人間の活動によって大量に排出されています。二酸化炭素は他のガスと比べると地球温暖化への影響は少ないとされています。しかし、温室効果ガスの中でも特に多く排出され、その濃度の増加が地球温暖化を加速させています。

次にメタン(CH4)があります。メタンは主に特に家畜からの排出や水田からの放出、また廃棄物の埋め立てなどで発生します。メタンは二酸化炭素に比べて地球温暖化への影響が大きいものの、大気中の濃度はCO2よりもずっと低いです。

また、一酸化二窒素(N2O)も重要な温室効果ガスです。化学肥料の使用や化石燃料の燃焼、廃棄物の処理といった活動から排出されます。亜酸化窒素は、メタンと同様に二酸化炭素よりも強力な温室効果を持ちますが、その濃度はさらに少ないです。

フロンガスなどの人工的に作られたガスも、非常に強い温室効果を持ちます。
地球温暖化への影響が大きいフロンガスですが、人体への毒性が少ないという理由から冷蔵庫やエアコンの冷媒、電子機器のほこり飛ばしスプレーなど身近な場所で多く使用されています。

フロンを利用している製品は適切な処分を

家庭用のエアコンや冷蔵庫にはフロンが使用されています。これらの家電は家電リサイクル法で定められた適切な方法で処分する必要があります。

買い替えの際に引き取ってもらう、指定取引場所へ持ち込むなど、お住まいの市町村のルールで正しく処分しましょう。

これらのガスは、様々な源から排出され、異なる温室効果の強さを持っていますが、どれも地球の気候へ影響を与え、温暖化を進行させるものです。理解と認識を深めることが、これらのガスの排出削減への第一歩です。

温室効果ガスが発生する原因

温室効果ガスが発生する主な原因は、人間の活動によるものです。化石燃料の燃焼が最も一般的な例で、車の運転による廃棄ガス、発電所で電気を作る際、工場で何かを製造する際など私たちの生活の多くの面で化石燃料が使用されています。
化石燃料を燃焼する際に二酸化炭素(CO2)が大量に放出され、温室効果ガスの濃度を高めます。

また、農業も温室効果ガスの発生源になります。特に、家畜からのメタン排出や、化学肥料の使用による亜酸化窒素ガスの放出が挙げられます。さらに、森林伐採によって、植物が吸収していた二酸化炭素が放出されることも問題となっています。

都市化や産業活動の拡大に伴う廃棄物の増加も、メタンガスの重要な発生源となっています。廃棄物処理施設や不適切な廃棄物処理が原因で、大量のメタンが大気中に放出されることがあります。

これらの活動は、大気中の温室効果ガス濃度を人類史上前例のない速度で上昇させています。この状況を改善するには、エネルギー使用の効率化、再生可能エネルギーへの移行、農業や廃棄物処理の方法の改善など、多方面での取り組みが必要になります。

温室効果ガスの現状

現在、地球の大気中の温室効果ガス濃度は産業革命以前に比べて顕著に増加しています。特に二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素の濃度は、過去数百万年の間に見られないほどの高水準に達しています。
これは気候変動の主な原因となっており、地球温暖化、極端な気象現象の増加、海面上昇、生態系の変化など、多くの環境問題を引き起こしています。

温室効果ガスの排出量は、特にエネルギー生産、工業活動、交通、農業などの分野で増加傾向にあります。暮らしが進化していくにつれて温室効果ガスの排出量が増えていますが、どうすれば排出量が減らすことが出来るのか考えていくことが大切です。

地球への影響

温室効果ガスの増加によって起こる地球への影響は、地球温暖化が中心です。地球温暖化は、気候へ多大な影響を及ぼし、極端な気象条件、生態系の変化、海面上昇など、さまざまな環境問題を引き起こしています。

地球温暖化によって生じる具体的な問題を知ることで、より身近に感じることが出来るようになります。ここからは、地球温暖化とその結果として現れる問題点について詳しく見ていきましょう。


温室効果ガスと地球温暖化

温室効果ガスは、地球大気中に自然に存在し、太陽からの熱を吸収して地表近くの温度を温かく保つ役割を果たしています。これは「温室効果」と呼ばれ、地球上の生命にとって必要不可欠です。

しかし、産業革命以降、人間の活動が増えるにつれ、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素などの温室効果ガスの濃度が自然のレベルを超えて増加しました。この過剰な温室効果ガスの排出は、地球の平均気温を上昇させ、これが「地球温暖化」と呼ばれる現象を引き起こしています。

地球温暖化は、単に暑くなるという以上の深刻な問題を引き起こします。
平均気温の上昇は、様々な気象異常や気候変動を引き起こし、地球の自然環境に大きな影響を与えています。また、北極や南極の氷が解けてきているということも大きな問題です。

これらの変化は、生態系の破壊、食料や水資源の安全性への脅威、海面上昇による沿岸部の浸水など、人間の社会にも直接的な影響を及ぼします。

地球温暖化により出てくる問題

地球温暖化による影響は多岐にわたります。極端な暑さや寒さといった気象変動は、洪水、干ばつ、熱波、強力な台風やハリケーンのような自然災害をより頻繁かつ激しいものにしています。これらの災害は、時には命を奪うことも。経済的な損害も大きく、人々の生活に大きな影響を与えます。

北極や南極の氷が解けてしまうことは海面上昇を引き起こし、沿岸部や低地に暮らす人々へ危機をもたらしています。海面上昇は、洪水のリスクを高め、土地を失わせることにより、移住を余儀なくされる人々が出てきます。
また、二酸化炭素が海に少しずつ溶け込むことで海水の酸性化も進んでいます。海水温の上昇と海水の酸性化は、海洋生態系に悪影響を及ぼし、魚類の減少やサンゴ礁の白化を引き起こしています。

地球温暖化の進行は、食料生産への影響も無視できません。干ばつや不規則な降雨パターンは、農業生産に悪影響を及ぼし、世界の食糧安全保障に対する脅威となっています。これらの影響は、特に脆弱な地域での貧困と飢餓を悪化させ、世界的に健康や安全を保つことのハードルを高くしてしまいます。

各国の温室効果ガス削減への取り組み

世界中の国々は、地球温暖化の進行を遅らせるため、温室効果ガスの排出を削減する取り組みに力を入れています。これらの取り組みは、国際的な協定や自国の政策を通じて行われ、再生可能エネルギーの利用促進、エネルギー効率の改善、森林の保全と再植林など、様々な方法で実施されています。

特に、排出量の多い国々には、その責任を果たすためにより大きな役割が求められています。ここからは、温室効果ガスの排出量が特に多い国々と、世界各国が取り組んでいる削減策の具体例について掘り下げていきます。


排出量の多い国は

世界の温室効果ガス排出量には、国によって大きな差があります。特に、経済活動が盛んで工業化が進んだ国々では、その排出量も多くなりがちです。例えば、中国、アメリカ合衆国、インド、ロシア、日本などが、世界で最もCO2排出量が多い国々の上位に位置しています。

二酸化炭素排出量の多い国(2020年)
  1. 中国
  2. アメリカ合衆国
  3. インド
  4. ロシア
  5. 日本
  6. ドイツ
  7. 韓国
  8. カナダ
  9. ブラジル
  10. トルコ

これらの国々は、世界全体の温室効果ガス排出量の大半を占めており、その削減に向けた取り組みは地球全体の気候変動対策にとって極めて重要です。エネルギー生産、交通、工業、農業など、様々な分野で排出される温室効果ガスを削減するために、これらの国々は国内外でさまざまな政策を実施しています。

世界各国の取り組み

世界各国では、温室効果ガスの排出量を削減するための様々な取り組みが進められています。パリ協定の下で設定された国別の排出削減目標に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大、エネルギー効率の向上、森林保全と再植林、持続可能な農業技術の開発など、様々な方向からのアプローチが取られています。

例えばアメリカでは、2005年の基準から2030年までに温室効果ガスの排出を50~52%削減し、2050年までに排出量を実質ゼロにするという目標を設定しています。EUも2050年に向けて実質ゼロを目指しており、2030年の目標は1990年比で55%以上の排出削減です。
これらの国々だけでなく、小さな国々もまた、独自の課題と可能性に基づいて、温室効果ガス排出削減のための取り組みを進めています。

地球温暖化の影響は国境を越えて行う必要があります。各国の取り組みと国際的な協力が不可欠です。

日本の取り組み

日本は、温室効果ガス排出量が上位の国の一つとして、気候変動への対策に積極的に取り組んでいます。政府は「脱炭素社会」の実現に向けて、様々な政策を推進しており、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする目標を掲げています。

この目標達成に向け、再生可能エネルギーの普及拡大、省エネルギー技術の開発と導入、炭素税の検討など、多岐にわたる施策が検討・実施されています。国だけでなく企業も、環境に優しい製品の開発、エネルギー効率の良い製造方法の導入、サステナブルなビジネスモデルへの転換といった形で、この目標の実現に貢献しています。政府と企業が具体的にどのような取り組みを進めているのか、さらに詳しく見ていきましょう。


政府の取り組み

日本政府は、気候変動に対処するための政策を推進しています。最も重要な取り組みの一つが、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするという目標です。この目標を達成するため、政府は再生可能エネルギーの利用拡大、省エネルギー技術の普及、そして公共交通機関の利用促進など、さまざまな施策を講じています。

また、炭素税の導入や、企業に対する炭素排出量の報告義務付けなど、環境に配慮した経済活動を促進するための政策も検討されています。これらの取り組みは、地球温暖化の進行を遅らせるだけでなく、環境に優しい技術の開発や新たな産業を創り出すことにも寄与することが期待されています。

企業の取り組み

国内の企業もまた、環境保全と経済成長の両立を目指してさまざまな取り組みを進めています。多くの企業が、環境マネジメントシステムの導入、エネルギー効率の高い製品の開発、廃棄物の削減やリサイクルの推進など、自社の環境負荷を低減するための活動を積極的に行っています。

また、温室効果ガス排出量の自主的な削減目標を設定する企業も増えており、その達成に向けて様々な施策を実施しています。環境に優しいビジネスモデルへの転換を図るため、再生可能エネルギーの利用拡大や二酸化炭素排出量を減らすための対策など、新しい取り組みにも挑戦している企業も見られます。

これらの企業努力は、日本全体の温室効果ガス排出量の削減に貢献するとともに、持続可能な社会の実現に向けた大きな一歩となっています。

削減のために私たちができること

温室効果ガスを削減するために私たち一人ひとりができることは意外と多くあります。日常生活の中で意識的に環境へ優しい選択をすることで、温室効果ガスの排出量を削減し、環境への負担を軽減することが可能です。

節電や再生可能エネルギーの利用、車の使用を控えること、ゴミを減らすこと、そして物を長持ちさせるための修理や、リサイクル製品を選ぶことなどさまざまな方法があります。これらの行動は、単に環境に優しいだけでなく、お財布にも優しいことが多いです。

ここからは、これらの具体的な行動について詳しく見ていきましょう。

節電に取り組む

節電は、私たちが日常でできる最も簡単な温室効果ガス削減の方法の一つです。
エネルギーの使用量を減らすことで、電力会社が化石燃料を燃やして発電する際に排出されるCO2量を削減することができます。

節電のためには、不要な電気の使用を控える、LED電球など省エネ型の照明器具を使用する、エアコンや暖房器具の設定温度を見直すなど、さまざまな方法があります。これらの行動は一見小さなものかもしれませんが、多くの人が実践することで大きな節電効果を生み出し、温室効果ガスの排出削減に貢献することができます。

再生可能エネルギーを使う

再生可能エネルギーの利用は、化石燃料に依存することなくエネルギーを供給する方法として注目されています。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスなど、自然の力を利用したエネルギーは、使用しても資源を枯渇させることがなく、CO2などの温室効果ガスをほとんど、または全く排出しません。

個人で再生可能エネルギーを取り入れる方法としては、太陽光発電システムの設置や、再生可能エネルギーを優先して利用する電力会社を選択することが挙げられます。再生可能エネルギーへの移行は、持続可能な社会を実現する上で欠かせない要素です。

車移動を減らす

車の使用を減らすことは、温室効果ガスの排出を削減する効果的な方法の一つです。自動車は化石燃料を燃やすことでCO2を大量に排出します。これを減らすためには、公共交通機関の利用、自転車や徒歩での移動などが有効です。特に都市部では、公共交通機関の充実している地域も多く、日常の移動手段として活用することで、温室効果ガスの削減に貢献することができます。

これらの選択は、温室効果ガスの排出量を減らすだけでなく、健康の促進や交通渋滞の緩和にもつながります。

地産地消を心がける

地産地消を心がけることも環境を守ることに大きく貢献します。
遠くの地域からの食材を配送することは、輸送手段として使用されるトラックや飛行機などによって大量のCO2が排出されます。地元で生産された食材を選ぶことで、その排出量を減らすことができます。

また、地元の農産物を購入することは地域経済を支援し、地域の農業を持続可能なものにしていく上でも重要な役割を果たします。季節に合った食材を選ぶことも、エネルギーの使用量を減らすことにつながりますね。例えば、温室で栽培された野菜よりも、その季節に自然に収穫される野菜を選ぶ方が、温室で必要とされるエネルギー消費を避けることができるためです。

地産地消を心がけることで、持続可能な消費を実践し、地球温暖化の進行を遅らせることに貢献できます。

食品ロスを減らす

食品ロスの削減は、温室効果ガス排出を減らす上で重要な役割を果たします。
食品生産から消費に至るまでの過程で排出される温室効果ガスの量はとても多く、不必要に廃棄される食品はこの問題をさらに悪化させています。

食品ロスを減らす方法としては、買い物をする際に計画を立てて必要な量だけを購入する、食材を無駄なく使い切るためのレシピを探す、保存方法を工夫して食品の鮮度を保つなどがあります。また、賞味期限や消費期限の違いを理解し、食品が無駄にならないように心がけることも大切です。

これらの取り組みは、家庭での食品ロスを大幅に減らすことにつながり、結果的に食品生産に伴う温室効果ガスの排出量を削減することに繋がります。

ゴミを減らす

ゴミを減らすことも、環境にやさしい生活を送る上で非常に重要です。ごみを処理する過程でCO2などの温室効果ガスを排出することになります。このため、ゴミの量を減らすことは、地球温暖化対策に直接的に貢献します。

具体的な方法としては、使い捨てではない製品を選ぶ、製品を長く使い続ける、リサイクル可能な素材を選ぶなどがあります。また、食品だけでなく、衣類や電子機器など、さまざまな製品の消費においても、必要以上に購入せず、本当に必要なものだけを選ぶことも大切です。

これらの行動によって、個人レベルでゴミの量を減らし、温室効果ガスの排出削減に貢献することができます。

修理しながら大切に使う

物を修理して長く使い続けることは、資源の有効活用と温室効果ガス排出の削減に大きく貢献します。製品を新しく購入する代わりに壊れたものを修理することは、環境への負担を減らすことに繋がります。衣類、電化製品、家具など、修理可能なものはできるだけ修理し、再利用することで、製造や廃棄に伴うCO2排出を避けることができます。

また、修理を通じて物との関係性を深めることは、物を大切にする心を育み、無駄遣いを防ぐことにもつながります。地域の修理工房を利用するなど、修理を促進する取り組みも広がりつつあります。修理して使い続けることは持続可能な消費行動の一つとして、私たちの生活に馴染んでいくことが理想ですね。

リサイクル製品を選ぶ

リサイクル製品を選ぶことは、資源の循環利用を促し、温室効果ガスの排出を削減する効果的な方法の一つです。新しい原材料を採取して製品を製造するよりも、既に使用された材料を再利用して製品を作る方が、エネルギー消費が少なく、CO2排出量も低く抑えられます。紙製品、プラスチック製品、衣類、家電製品など、日常生活で広くリサイクル製品が提供されています。

消費者としてリサイクルされた製品を積極的に選ぶことは、環境保護に貢献するだけでなく、リサイクル産業を支え、資源の持続可能な利用を促進することにも繋がります。リサイクル製品の選択は、環境に優しい生活を実践する上で、私たちが簡単にできる行動の一つです。

私たちJEMTCは官公庁などでリース使用されたPCを有効活用する取り組みにより
限られた有効資源の活用と温室効果ガス(CO2)削減を目指しております