私たちの生活に欠かせない宅配便。ネットショップなどの普及により昔よりも使用頻度は格段に多くなりました。
宅配を利用する際に問題になるのが再配達ですね。再配達は環境負荷の増大や、配送業者の負担増加など様々な問題を引き起こしてしまいます。

こちらの記事では再配達の現状や環境に与える影響、そして再配達を減らすための方法を詳しくご紹介していきます。

再配達の現状と問題点

近年、インターネットショッピングの普及により宅配便の利用が飛躍的に増加しています。多くの人が自宅で荷物を受け取るようになりましたが、同時に再配達の問題も浮上してきました。

再配達とは、配達員が荷物を届けに行ったものの、受取人が不在だったために持ち帰り、再度配達することを指します。一見すると些細な問題に思えるかもしれませんが、実は社会全体に大きな影響を与えています。

再配達が増えることで、配達員の労働時間が長くなり、配送トラックの走行距離も伸びます。その結果、二酸化炭素の排出量が増加し、環境負荷が高まってしまうのです。さらに、再配達に伴う人件費や燃料費の増加は、宅配便の価格上昇にもつながりかねません。

10回に1回が再配達されている

配達される荷物のうち、実に10回に1回は再配達されているというデータがあります。言い換えれば、10個の荷物のうち1個は、配達員が2回以上届けに行かなければならないということです。

この数字は一見すると小さく感じるかもしれません。しかし、年間の宅配便の取扱個数は数億個にも上ります。単純計算すると、そのうちの数千万個から数億個が再配達の対象になっていることになります。

再配達が発生する主な理由は、受取人が不在であることです。共働き世帯の増加や、ライフスタイルの多様化により、日中に家にいる人が減ってきたことが背景にあります。また、インターホンに気づかなかったり、すぐに出られなかったりすることも、再配達につながっています。

再配達による環境負荷

再配達が発生すると、配送トラックは同じ場所に何度も足を運ばなければなりません。つまり、無駄な走行距離が増えるのです。これによって、燃料消費量が増加し、二酸化炭素の排出量も必然的に多くなります。

地球温暖化が深刻化する中、二酸化炭素の排出量を削減することは喫緊の課題となっています。再配達による環境負荷の増大は、この課題の達成を阻む要因の一つと言えるでしょう。

また、再配達の増加は、交通量の増加にもつながります。特に都市部では、配送トラックが渋滞に巻き込まれることで、更なる燃料消費と二酸化炭素排出を招くことになります。加えて、大気汚染物質の濃度上昇も懸念されます。

持続可能な社会を実現するためには、再配達の削減が不可欠だと言えます。それでは、なぜ再配達が増加傾向にあるのでしょうか。その背景には、私たちのライフスタイルの変化があります。

ネットショップの利用で宅配物が増えている

近年、インターネットの普及とともに、ネットショップの利用が急速に拡大しています。スマートフォンの普及により、いつでもどこでも簡単に買い物ができるようになりました。

ネットショップの利用が増えることで、宅配便の取扱個数も大幅に増加しています。 平成22年度は約32.2億個だった宅配便の取扱個数は令和4年度には約50.6億個となっております。

宅配便の増加は、利便性の向上という点では歓迎すべきことかもしれません。しかし、それと同時に、再配達の増加にもつながっているのです。

ネットショップの利用者は、商品が欲しいときにすぐに注文できる反面で受け取りの時間指定ができない場合が多くあります。そのため、配達時に不在がちになり、再配達が発生しやすくなってしまうのです。

2024年問題と再配達削減の関係

物流に関する問題として、2024年問題という言葉を聞いたことがないでしょうか?
これは、2024年4月よりトラックドライバーといった運転業務の従事者労働時間の規制が厳しくなり、ドライバーたちの働ける時間が限られるようになることで、配達に影響を及ぼすことを言います。

より詳しくご説明します。

2024年問題とは

「2024年問題」とは、物流・運送業界における働き方改革法案の一環で、ドライバーの時間外労働時間上限が年間960時間に制限されることによって生じる問題群を指します。

この制限によりドライバーの稼働時間が短縮されるため、長距離の運搬が困難になるという懸念があります。これが、物流・運送業界の売上の減少やドライバーの収入減少につながる可能性があるわけです。

物流・運送業界は、ドライバー不足とその高齢化、さらにはEコマースの拡大に伴う需要増加により、長時間労働が慢性化していました。
これらの現状を鑑み、働き方改革関連法はドライバーの労働時間に具体的な制限を設けたのです。

これまで通りの配達ができなくなる可能性も

労働時間の厳しい制限が導入されると、物流業界は「これまでと同じように配達をする」ことが困難になる可能性があります。

具体的には、各ドライバーが担当できる配送範囲や配送件数が制限されるので、顧客が期待する日程や時間内に商品を届けることができなくなる可能性があります。
特に繁忙期には、これが顕著に表れることが予想されています。配送の遅延は直接的に顧客満足度の低下を引き起こす可能性があります。

再配達を減らすための工夫

再配達が発生してしまうのは、配達時に受取人が不在なことが主な原因です。したがって、再配達を減らすためには、受取人の都合に合わせた配達方法を確立することが重要になります。

具体的には、配達日時の指定や、宅配ボックスの活用など、受取人の生活スタイルに合わせた様々な受取方法を用意することが求められます。これにより、受取人は自分の都合に合わせて荷物を受け取ることができ、再配達の発生を防ぐことができるのです。

また、再配達を減らすためには、利用者の意識改革も重要になります。荷物を受け取ることの重要性を理解し、できる限り一回で受け取ることを心がける必要があるでしょう。

宅配業者と利用者が協力し、再配達を減らすための工夫を続けていくことで、環境負荷の軽減や、2024年問題への対応につなげていくことができるはずです。それでは、具体的にどのような工夫が考えられるのでしょうか。まず、配達日時の指定について見ていきましょう。

配達日時の指定

再配達を減らすための最も効果的な方法の一つが、配達日時の指定です。多くの宅配業者は、利用者が配達日時を指定できるサービスを提供しています。
配達日時の指定は、利用者が自分の都合に合わせて荷物を受け取ることができる便利な方法です。仕事や学校などで日中不在がちな人でも、自分が在宅できる日時を指定することで、確実に荷物を受け取ることができます。

配達日時の指定方法は、宅配業者によって異なります。インターネットや電話で指定できる場合が大変です。利用者は自分に合った方法で配達日時を指定することが大切です。

また、配達日時の指定は、宅配業者にとってもメリットがあります。利用者の都合に合わせて配達することで、再配達の発生を防ぐことができるからです。これにより、配達の効率化や、コスト削減につなげることができるのです。

ただし、配達日時の指定だけではすべての再配達を防ぐことはできません。例えば、急な用事で指定した日時に不在になってしまう場合などがあります。そのような場合に備えて、宅配ボックスの活用も重要になります。

宅配ボックスを活用する

宅配ボックスは、再配達を減らすための有効な手段の一つです。宅配ボックスとは、荷物を受け取るための専用のボックスのことを指します。
宅配ボックスは、マンションや戸建て住宅に設置されることが多いです。配達員が荷物を宅配ボックスに入れておくことで、利用者は自分の都合の良い時間に荷物を取り出すことができます。

宅配ボックスを活用することで、利用者は配達日時を指定できなくても確実に荷物を受け取ることができます。また、急な用事で不在になってしまった場合でも、再配達を依頼する必要がありません。

宅配ボックスは、再配達の発生を防ぐことで配達の効率化やコスト削減につなげることができます。また、宅配ボックスに荷物を入れるだけなので、配達にかかる時間を短縮することもできます。

ただし、宅配ボックスの設置にはコストがかかるという課題もあります。また、宅配ボックスの大きさには限りがあるため、大きな荷物を受け取ることが難しい場合もあります。

コンビニ受取りサービスの利用

再配達を減らすための工夫として、配達日時の指定や宅配ボックスの活用が挙げられますが、それ以外にも有効な方法があります。その一つがコンビニ受取りサービスの利用です。

コンビニ受取りサービスとは、宅配便の荷物をコンビニエンスストアで受け取ることができるサービスのことを指します。利用者は、自分の都合の良い時間にコンビニエンスストアに行き、荷物を受け取ることができます。

コンビニ受取りサービスは、特に日中不在がちな人にとって便利な方法です。仕事や学校で忙しい人でも、帰宅途中や休日にコンビニエンスストアで荷物を受け取ることができるからです。

コンビニ受取りサービスは、多くの宅配業者が提供しています。利用方法は業者によって異なりますが、インターネットや電話で事前に受取りを指定する必要があります。

コンビニ受取りサービスは、再配達を減らすための有効な手段の一つですが、コンビニエンスストアまで荷物を取りに行く必要があるという手間もあります。

不在票からのスマホ手続き

度重なる再配達を減らすための工夫として、不在票からのスマホ手続きも有効な方法の一つです。これは、宅配便の不在票に記載されたQRコードやURLから、スマートフォンで再配達の手続きを行うことができるサービスです。

従来の再配達の手続きは、宅配業者に電話をかける必要がありました。しかし、不在票からのスマホ手続きを利用することで、いつでもどこでも簡単に手続きを行うことができます。

不在票からのスマホ手続きは、利用者にとって大変便利な方法です。仕事や学校で忙しい人でも、移動中や休憩時間などを利用して手続きを行うことができるからです。

また、不在票からのスマホ手続きは、宅配業者にとってもメリットがあります。再配達の手続きにかかる時間を短縮することで、業務の効率化につなげることができるのです。

不在票からのスマホ手続きは、多くの宅配業者が提供しています。利用方法は業者によって異なりますが、不在票に記載されたQRコードを読み取るか、URLにアクセスするだけで手続きを行うことができます。

ただし、不在票からのスマホ手続きを利用するためには、スマートフォンが必要不可欠です。また、インターネット環境が整っていない場合は、手続きを行うことができません。

確実な受取りを

再配達は環境負荷の増大や二酸化炭素排出量の増加など、様々な問題を引き起こす可能性があります。これらの問題に対処するためには、再配達を減らすための工夫が不可欠です。

本記事では、再配達を減らすための様々な方法を紹介してきました。配達日時の指定や宅配ボックスの活用、コンビニ受取りサービスの利用など、受取人の生活スタイルに合わせた多様な受取方法があります。

宅配業者と利用者が協力し、再配達を減らすための工夫を続けていくことが重要です。一人一人のちょっとした心がけで非効率な再配達を無くしていきましょう。

再配達を減らすための方法
  • 配達日時の指定
  • 宅配ボックスの活用
  • コンビニ受取りサービスの利用
  • 不在票からのスマホ手続き