近年、SDGsという言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか?
SDGsとは、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから成る、世界共通の持続可能な開発目標のことです。「SDGsって難しそう」「自分には関係ないのでは」と思われるかもしれません。
しかし、SDGsは私たち一人ひとりの日常生活に密接に関わっていることなのです。
こちらのページでは、SDGsの概要と17の目標について分かりやすく解説するとともに、私たちにはどんなことができるかなどを提案します。
SDGsを自分ごととして考え、できることから行動に移すことで、あなたも持続可能な社会の実現に貢献できます。より良い未来のために、まずはSDGsについて知るところから始めましょう!
SDGsとは?【持続可能な開発目標】
SDGs(Sustainable Development Goals)とは、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから成る国際目標です。
SDGsは、先進国を含む国際社会全体の優先課題として、地球上の「誰一人取り残さない」ことを理念に、経済・社会・環境をめぐる広範な課題に統合的に取り組むことを目指しています。
貧困や飢餓、健康や教育、ジェンダー平等、気候変動対策など、私たち一人ひとりの日常生活に密接に関わる問題から、産業革新やインフラ整備、平和と公正といった社会全体の課題まで、SDGsは幅広い分野をカバーしています。
SDGsの特徴は、先進国と開発途上国が共に取り組むことを求めている点です。グローバルな課題の解決には、特定の国だけが努力するのでなく国際社会全体で協力し合うことが不可欠だからです。
では、なぜ国際社会がSDGsという目標を掲げるに至ったのでしょうか?SDGsが必要とされる理由について、次の項目で詳しく説明します。
SDGsが必要な理由
SDGsが採択された背景には、世界が直面する様々な問題があります。
まず、地球環境の悪化が深刻化していることが挙げられます。気候変動による異常気象や自然災害の増加、生物多様性の損失、海洋汚染など、世界各地で発生していますね。
また、世界では未だに極度の貧困に苦しむ人々が多数存在し、飢餓や保健、教育、ジェンダー平等などの課題も山積みです。
一方で、先進国では少子高齢化や経済格差の拡大など、社会の持続可能性を脅かす問題を抱えています。
グローバル化が進む中、ある国や地域で発生した問題が瞬時に世界に波及するようになり、国際社会は互いに助け合い、協力し合うことが求められるようになりました。
こうした背景から、国連は2015年に「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」を採択し、その中心となっているのがSDGsです。
SDGsは、地球上の誰もが安心して暮らせる持続可能な世界を実現するための、国際社会共通の目標となりました。
SDGsの前文
2015年9月の国連サミットで採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の前文では、SDGsの基本的な理念や目的が述べられています。
前文は以下のような文で始められています。
このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である
持続可能な開発のための2030アジェンダ
ここには、SDGsが単なる開発目標ではなく、人間の尊厳を守り、地球環境を保全し、すべての人が豊かさを享受できる世界を目指すという決意が込められています。
また、前文では「誰一人取り残さない」ことが強調されており、SDGsが先進国も途上国も、あらゆる人々を対象とした普遍的な目標であることを意味しています。
年齢、性別、障害の有無、人種、民族、出身、宗教、経済状況などに関わらず、すべての人が尊厳を持って生きられる社会を目指すというSDGsの理念が、前文に明確に打ち出されているのです。
こうした前文の内容は、SDGsの根底にある価値観や目指すべき方向性を示すものであり、私たち一人ひとりがSDGsに取り組む上での指針となるものです。
では、SDGsの達成に向けて、私たちはいつまでに行動しなければならないのでしょうか。
SDGsの達成期限
2015年に採択されたSDGsは、2030年12月31日までに達成すべき目標として設定されました。
2030年という期限は、目標達成に向けた取り組みに一定の時間的な枠組みを与えるとともに、国際社会に緊急性を持って行動を促す役割を果たしています。
そして、2030年のSDGs達成はゴールではなく通過点と捉えるべきでしょう。
SDGsが目指す持続可能な社会の実現は、2030年で終わるのではなく、その先も見据えた長期的な取り組みが必要だからです。
2030年の期限を意識しつつも、一人ひとりが自分にできることを継続的に実践していくことが、SDGsの真の達成につながるのです。
17の目標とターゲット
SDGsの目標は以下の17の項目で構成されています。
- 貧困をなくそう
- 飢餓をゼロに
- すべての人に健康と福祉を
- 質の高い教育をみんなに
- ジェンダー平等を実現しよう
- 安全な水とトイレを世界中に
- エネルギーをみんなにそしてクリーンに
- 働きがいも経済成長も
- 産業と技術革新の基盤をつくろう
- 人や国の不平等をなくそう
- 住み続けられるまちづくりを
- つくる責任つかう責任
- 気候変動に具体的な対策を
- 海の豊かさを守ろう
- 陸の豊かさも守ろう
- 平和と公正をすべての人に
- パートナーシップで目標を達成しよう
これらの目標は、貧困や飢餓、健康、教育、ジェンダー平等など、人々の基本的な生活の質の向上を目指すものから、経済成長、産業化、インフラ整備など、社会の発展に関わるもの、さらには気候変動や海洋・陸上資源の保全など、地球環境の持続可能性を追求するものまで、幅広い分野をカバーしています。
そして各目標には、目標を実現するためにより具体的な行動指標となる「ターゲット」が設定されています。例えば、目標1の「貧困をなくそう」には、「2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」というターゲット(具体的目標)が含まれます。
SDGsのターゲットや指標はグローバルな視点でつくられています。
中には「日本で暮らす上ではあまり関係ないのでは?」と思うものもありますが、それを自分の国や地域レベルに置き換えるとどうなるのか を考えていくことが大切なのです
SDGs5つのP
先ほどお伝えした通り、SDGsは17の目標から構成されていますが、これらの目標は大きく5つの分野に分類することができます。
それが、「5つのP」と呼ばれるものです。
- People 【人間】
- Prosperity【繁栄】
- Planet【地球】
- Peace【平和】
- Partnership【パートナーシップ】
SDGsの17の目標はこれら5つの分野に関連づけられており、それぞれの分野における課題解決を目指しています。
SDGsの5つのPについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。
People【人間】
SDGsの5つのPのうち、最初のPであるPeopleは、「人間」を意味しています。これは、SDGsが人間の尊厳と基本的人権を守ることを目的としていることを表しています。
Peopleに関連するSDGsの目標には、貧困をなくすことや飢餓に終止符を打つこと、すべての人に健康と福祉を保障すること、質の高い教育をみんなに提供すること、ジェンダー平等を実現することなどが含まれます。
これらの目標は、年齢、性別、障害の有無、人種、民族、出身、宗教、経済状況などに関わらず、すべての人が基本的な権利を享受し、自分の可能性を最大限に発揮できる社会を目指すものです。
Peopleの視点は、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」ことを実現する上で欠かせません。
これは私たち一人ひとりが、自分の周りの人々の多様性を認め合い、お互いの尊厳を守り合うことで目標達成につながります。自分とは関係のない世界規模の話、としてしまうのではなく、日常生活の中でも差別やハラスメントを許さず、弱い立場に置かれている人々に寄り添い支え合う気持ちを持つことを意識してみましょう。
Prosperity【繁栄】
SDGsの5つのPの2つ目はProsperity、「繁栄」です。
Prosperityは、すべての人々が豊かさを享受できる社会の実現を目指すものです。
ここでいう豊かさとは単に経済的な豊かさだけでなく、人々が自分らしく生きられる環境が整っている状態を指します。
Prosperityに関連するSDGsの目標には、働きがいのある人間らしい仕事を促進することや、産業と技術革新の基盤をつくること、住み続けられるまちづくりを進めることなどが含まれます。
これらの目標は、誰もが安定した雇用を得られ、イノベーションを通じて新たな価値を生み出せる、活力ある経済社会を目指すものです。同時に、都市や地域社会が持続可能な形で発展し、人々が安心して暮らせる環境を作ることも重要な要素となります。
Prosperity(繁栄) を実現するためには、経済成長と環境保護のバランスを取ることが不可欠です。経済発展を追求するあまり、格差が拡大したり環境が破壊されたりすることがあってはならないのです。
私たち一人ひとりにできることとしては、例えば、地域の中小企業を応援したり、フェアトレード商品を選んだり、シェアサービスに参加したりすることなどが挙げられます。
Planet【地球】
SDGsの5つのPの3つ目は、Planet「地球」です。
Planetは、私たち人類が生存し、活動する基盤である地球環境を守ることを意味しています。
地球環境の悪化は、気候変動や生物多様性の損失、汚染などの形で私たちの生活に直接影響を与えます。また、環境問題は、貧困や飢餓、健康など、他のSDGsの目標とも密接に関連しています。
そのため、Planetに関するSDGsの目標には、気候変動対策や海洋・陸上資源の保全、持続可能な生産と消費の実現などが含まれています。
これらの目標は、地球環境への負荷を最小限に抑えながら、私たちの生活を維持・向上させていくことを目指すものです。地球環境を意識することは、私たち一人ひとりの日常生活や企業活動のあり方を見直すきっかけにもなります。
例えば、エネルギーの効率的な利用、再生可能エネルギーの導入、廃棄物の削減とリサイクル、環境に配慮した製品の選択など、私たちにできる取り組みは数多くあります。
こうした一人ひとりの行動の積み重ねが、地球環境の保全につながり、私たちの未来を守ることになるのです。
Peace【平和】
SDGsの5つのPの4つ目は、Peace「平和」です。
平和は、すべての人々が安全と尊厳のもとで生きる権利を保障する上で欠かせない要素です。
紛争や暴力、差別などのない社会を実現することは、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」ことを達成する上でも重要な課題となります。
Peaceに関連するSDGsの目標には、平和と公正をすべての人に提供することや、持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進することなどが含まれます。
これらの目標は、法の支配に基づく平和で公正な社会の実現を目指すとともに、暴力や紛争の根本原因に取り組むことの重要性を示しています。
平和な社会を実現するためには、人権の尊重、ジェンダー平等、民主主義の推進、腐敗の防止など、様々な取り組みが求められます。また、紛争の予防と解決、平和構築のためには、対話と協調を通じた国際協力が不可欠です。
私たち一人ひとりにできることとしては、身近な場所から暴力を排除し、互いの多様性を認め合い、対話を重ねることなどが挙げられます。
学校や地域社会、職場などで、平和な関係を築くことは、社会全体の平和につながっていくのです。
Partnership【パートナーシップ】
SDGsの5つのPの最後は、Partnership「パートナーシップ」です。
パートナーシップとは、SDGsの達成に向けて、様々な人や企業が協力し合うことを意味しています。
SDGsの17番目の目標は、「パートナーシップで目標を達成しよう」というものであり、パートナーシップの重要性を強調しています。SDGsの達成には、政府、企業、市民社会、国際機関など、あらゆる機関の参加と連携が不可欠です。
なぜなら、SDGsが掲げる課題は複雑で相互に関連しており、一つの機関だけでは解決できないからです。
例えば、貧困の撲滅には、政府による社会保障制度の整備だけでなく、企業による雇用の創出、NGOによる支援活動など、多面的な取り組みが求められます。
私たち一人ひとりにできることとしては、SDGsの達成に向けて自分にできる役割を見つけ、行動することが挙げられます。例えば、ボランティア活動に参加したり、SDGsに取り組む企業の製品を選んだり、SDGsについて学び、周りの人に伝えたりすることなどが出来ますね。
SDGs17の目標
ここからは、SDGsの17の目標について順番に詳しく見ていきましょう。
1 貧困をなくそう
SDGsの目標1は、「あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ」ことを目指しています。
貧困は、単に所得が低いことだけを意味するのではありません。
教育、健康、住居、社会サービスへのアクセスなど、人間らしい生活を送るために必要な基本的な資源やサービスが欠如している状態を指します。
世界には未だに極度の貧困に苦しむ人々が多数存在しており、貧困撲滅は国際社会が取り組むべき喫緊の課題となっています。
目標1には、2030年までに極度の貧困を撲滅することや、全ての人々が平等に経済的資源へアクセスできるようにすることなどのターゲットが設定されています。
貧困撲滅のためには、経済成長や雇用創出だけでなく、社会保障制度の整備、教育や医療サービスの充実、ジェンダー平等の推進など、多面的な取り組みが求められます。
また、貧困は災害や紛争、気候変動などの影響を受けやすく、これらの問題への対処も貧困撲滅と密接に関連しています。
フェアトレード商品を選ぶ、途上国の子どもたちの教育を支援する、貧困問題について学び、周りの人に伝えるなどが挙げられます。
このように、貧困撲滅は私たち全員に関わる課題であり、一人ひとりの行動が大きな変化を生み出す力を持っています。
2 飢餓をゼロに
SDGsの目標2は、「飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する」ことを目指しています。
世界では、約7億3500万人が慢性的な飢餓に苦しんでいると推定されています。
飢餓は、単に食料が不足しているだけでなく、栄養不良や健康問題、貧困などとも密接に関連しています。
目標2には、2030年までに飢餓を撲滅し、全ての人々が十分で安全かつ栄養ある食料を得られるようにすることや、持続可能な食料生産システムを確保し、気候変動に対する適応力を向上させることなどのターゲットが設定されています。
飢餓撲滅のためには、食料生産の増加だけでなく、食料の損失や廃棄の削減、貧困層のアクセス改善、持続可能な農業の推進など、多面的な取り組みが求められます。
また、気候変動や水不足、土地の劣化などの環境問題への対処も、食料安全保障の確保に不可欠です。
食べ残しを減らす、地元の農家を応援する、持続可能な農業について学ぶなどが挙げられます。
また、飢餓に苦しむ人々を支援する団体に寄付をしたり、ボランティア活動に参加したりすることも、大きな力になります。
このように、飢餓撲滅は私たち全員が取り組むべき課題なのです。
3 すべての人に健康と福祉を
SDGsの目標3は、「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」ことを目指しています。
健康と福祉は、人間の基本的な権利であり、持続可能な開発の基盤でもあります。しかし、世界では未だに多くの人々が、十分な医療サービスを受けられず、予防可能な病気で命を落としています。
また、高齢化や非感染性疾患の増加など、新たな健康課題への対応も求められています。
健康と福祉の推進のためには、保健システムの強化、医療従事者の育成、予防と健康増進の取り組みなど、多面的なアプローチが必要です。
また、健康の社会的決定要因にも着目し、貧困や教育、ジェンダー平等など、他の目標との関連性を踏まえた取り組みが求められます。
このように、健康と福祉の推進は、私たち一人ひとりの生活の質を高めるとともに、持続可能な社会の実現にも不可欠なのです。
4 質の高い教育をみんなに
SDGsの目標4は、「すべての人々に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」ことを目指しています。
教育は、貧困撲滅や健康促進、ジェンダー平等など、他の目標の達成にも大きく貢献する分野です。
世界では未だに2億4,000万人の子どもが学校に通えておらず、学習の質にも課題があります。
目標4には、2030年までに、全ての子どもが無償かつ質の高い初等・中等教育を修了できるようにすることや、職業技術教育を含む高等教育への平等なアクセスを確保することなどのターゲットが設定されています。
また、ジェンダー格差の解消や、持続可能な開発のための知識とスキルの習得も目指しています。
質の高い教育の提供のためには、教育インフラの整備、教員の能力開発、カリキュラムの改善など、多面的な取り組みが求められます。そして、貧困や紛争などの教育を阻む要因への対処も重要です。
子どもたちの学びを支援する、生涯学習の機会を積極的に活用する、教育の重要性を周りの人に伝えるなどが挙げられます。
また、教育支援に取り組むNGO等への寄付やボランティア活動への参加も、大きな力になります。
質の高い教育の提供は、一人ひとりの可能性を引き出し、持続可能な社会の実現に不可欠な基盤となるのです。
5 ジェンダー平等を実現しよう
SDGsの目標5は、「ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児の権利を守り 差別をなくす」ことを目指しています。
ジェンダー平等は、人権の尊重と社会正義の実現に不可欠な要素です。
しかし、世界では未だに女性や女児に対する差別や暴力が根強く残っており、教育や雇用、意思決定への参画などにおける機会の不平等も課題となっています。
目標5には、あらゆる場所における女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃することや、女性に対するあらゆる形態の暴力を根絶することなどのターゲットが設定されています。
また、無報酬の育児・介護や家事労働を認識・評価すること、政治・経済・公共分野でのリーダーシップにおける女性の平等な参画を確保することなども目指しています。
そのためには、教育や保健、経済など、他の分野における取り組みとの連携も重要です。
ジェンダー平等の実現は、誰もが自分の可能性を最大限に発揮できる社会を創るための鍵となるのです。
6 安全な水とトイレを世界中に
SDGsの目標6は、「すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」ことを目指しています。
安全な水と衛生設備は、健康や尊厳の保持、貧困撲滅など、他の目標の達成にも大きく貢献する分野です。
世界では未だに約20億人が安全に管理された飲料水を利用できず、約46億人が安全に管理された衛生設備を利用できていません。また、水質汚濁や水不足など、水資源の持続可能な管理も課題となっています。
目標6には、2030年までに、安全で安価な飲料水を普遍的にアクセス可能にすることや、すべての人々が適切かつ公平な衛生施設・衛生的行動を利用できるようにすることなどのターゲットが設定されています。
安全な水とトイレの普及のためには、インフラの整備、技術の開発・普及、衛生教育の推進など、多面的な取り組みが求められます。
また、水資源の持続可能な管理のためには、水質汚濁の防止、水の再利用、流域管理など、様々な課題への対処が必要です。
節水を心がける、水質汚濁の原因となる行為を避けることなどが挙げられます。
安全な水とトイレの普及は、誰もが健康で尊厳ある生活を送るための基盤となるのです。
7 エネルギーをみんなに。そしてクリーンに
SDGsの目標7は、「すべての人々に持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する」ことを目指しています。
エネルギーは、貧困撲滅や経済成長、気候変動対策など、他の目標の達成にも大きく影響する分野です。発電は化石燃料への依存が高く、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の改善も課題となっています
エネルギーアクセスの拡大のためには、電力インフラの整備、クリーンな調理・暖房手段の普及など、様々な取り組みが求められます。
また、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の改善のためには、技術開発の促進、政策的支援、資金調達の拡大などが必要です。
省エネを心がける、再生可能エネルギーの選択肢を積極的に利用することなどが挙げられます。
このように、エネルギーをみんなに届け、そしてクリーンなエネルギーへの転換を進めることは、持続可能な社会の実現に不可欠なのです。
8 働きがいも経済成長も
SDGsの目標8は、「すべての人々のために、持続可能な方法で経済成長を促進し、働きがいのある人間らしい仕事(ディーセント・ワーク)を提供する」ことを目指しています。また、強制労働や児童労働の撲滅、移住労働者の権利保護、中小企業の発展支援なども目指しています。
働きがいのある人間らしい仕事と持続可能な経済成長は、貧困撲滅や不平等の是正など、他の目標の達成にも大きく貢献する分野です。ここでいう経済成長は、環境に配慮しつつ、長期的に継続できるものを意味します。また、経済成長の恩恵が一部の人々ではなく、社会のあらゆる層の人々に行き渡ることが重要とされています。
生産的な完全雇用とは、働く意欲と能力のあるすべての人が、適切な仕事に就ける状態を指します。ディーセント・ワークとは、十分な収入、労働者の権利の保護、社会的保護、社会対話の機会が保障された、働きがいのある人間らしい仕事を意味します。
つまり、目標8は、環境と調和した持続可能な経済成長を実現しつつ、すべての人々に対して、働きがいのある人間らしい仕事を提供することを目標としているのです。
しかし、世界では未だに多くの人々が非公式経済に従事し、十分な労働条件や社会的保護を享受できていません。また、経済成長の鈍化や若年者の高い失業率、技術革新による雇用への影響など、様々な課題に直面しています。
公正な労働慣行を支持する、スキル開発の機会を積極的に活用する、持続可能な製品やサービスを選択するなどが挙げられます。
また、中小企業を応援したり、働きがいのある仕事の創出に取り組む企業や団体を支援したりすることも大切なことですね。
9 産業と技術革新の基盤を作ろう
SDGsの目標9は、「インフラを整備し、誰もが恩恵を受けられる持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」ことを目指しています。
産業と技術革新は、経済成長や雇用創出、生活の質の向上など、持続可能な開発の基盤となる分野です。
しかし、世界では未だに多くの人々が基本的なインフラやサービスにアクセスできず、中小企業の成長や技術革新の促進にも課題があります。
また、産業化が環境に与える影響への対処や、地域間・国間の格差の是正なども求められています。
産業と技術革新の基盤づくりのためには、インフラ投資の拡大、中小企業の成長支援、研究開発の強化など、多面的な取り組みが求められます。
また、環境に配慮した産業化の推進、地域間・国間の連携の強化、技術移転の促進なども重要です。
10 人や国の不平等をなくそう
SDGsの目標10は、「国内および国家間の不平等を是正する」ことを目指しています。
不平等の解消は、貧困撲滅や社会的包摂、持続可能な経済成長など、他の目標の達成にも大きく影響する課題です。
しかし、世界では未だに所得格差や機会の不平等が拡大し、社会的・政治的・経済的な排除が存在しています。また、国家間の不平等も依然として大きく、開発途上国の多くが不利な状況に置かれています。
目標10には、2030年までに、所得の成長率を下位40%の人々において国内平均を上回る率まで引き上げることや、年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、経済状況に関わりなく、すべての人々の能力向上と社会的・経済的・政治的な包含を促進することなどのターゲットが設定されています。
また、不平等を生み出す政策の是正、開発途上国の特別なニーズへの対処、移住者の責任ある管理なども目指しています。
不平等の解消のためには、社会保障制度の強化、機会の平等の確保、差別の撤廃など、包括的なアプローチが求められます。
また、国家間の連帯や協力の強化、貿易や投資の公正なルールづくり、技術支援の拡大なども重要です。
多様性を尊重し、差別をなくす行動をとる、不平等の問題について学ぶことなどが挙げられます。
また、フェアトレード商品を選んだり、途上国の人々の生活向上を支援したりすることも大切です。
11 住み続けられるまちづくりを
SDGsの目標11は、「都市と人間の居住地を誰もが暮らしやすく、安全、災害に強く、持続可能にする」ことを目指しています。
持続可能なまちづくりは、貧困撲滅や健康、教育、経済成長など、他の目標の達成にも大きく貢献する分野です。
しかし、世界では急速な都市化が進む中、十分な住宅や基本的なサービスを利用できない人々が多数存在し、環境の悪化や災害リスクの増大なども課題となっています。
また、都市と農村の格差や、文化遺産の保護、持続可能な交通システムの整備なども求められています。
目標11には、2030年までに、すべての人々が適切で安全かつ安価な住宅や基本的なサービスを利用できるようにすることや、都市部の一人当たりの環境上の悪影響を減らすことなどのターゲットが設定されています。
また、災害への対応力の向上、統合的な都市・居住地計画の拡大、公共空間の提供拡大なども目指しています。
持続可能なまちづくりのためには、誰もが暮らしやすい都市計画、環境に配慮したインフラ整備、コミュニティの参加促進など、多面的なアプローチが求められます。
また、都市と農村の連携強化、文化遺産の保全、持続可能な交通システムの導入なども重要です。
地域のまちづくりに参加する、環境に配慮したライフスタイルを実践する、文化遺産の保護活動を支援するなどが挙げられます。
また、持続可能な都市の実現に取り組む企業や団体を応援することも大切です。
12 つくる責任、つかう責任
SDGsの目標12は、「持続可能な消費と生産のパターンを確保する」ことを目指しています。
持続可能な消費と生産は、資源の効率的利用や環境負荷の低減、経済成長と環境保護の両立など、持続可能な開発の核となる課題です。
しかし、世界では大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会経済システムが依然として主流であり、資源の枯渇や環境汚染、廃棄物の増大などが深刻化しています。
また、食品ロスの削減や化学物質の適正管理、企業の持続可能性報告の促進なども求められています。
目標12には、2030年までに、天然資源の持続可能な管理と効率的な利用を達成することや、小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食料の廃棄を半減させることなどのターゲットが設定されています。
また、持続可能な公共調達の推進、人々の持続可能なライフスタイルに関する情報と意識の向上なども目指しています。
持続可能な消費と生産のためには、資源効率の向上、クリーンな技術・プロセスの導入、持続可能なビジネスモデルの構築など、包括的なアプローチが求められます。
また、消費者の意識変容や行動変容の促進、廃棄物の削減とリサイクルの推進、持続可能性に関する教育の強化なども重要です。
商品やサービスを選ぶ際に、倫理的な観点から判断する「エシカルな消費」を心がける、食品ロスを減らす工夫をする、シェアサービスを利用するなどが挙げられます。
また、持続可能な製品やサービスを提供する企業を応援することも大切です。
つくる責任とつかう責任を果たすことは、地球の限りある資源を大切にし、豊かな環境を次世代に引き継ぐために不可欠なのです。
13 気候変動に具体的な対策を
SDGsの目標13は、「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」ことを目指しています。
気候変動は、異常気象や海面上昇、生態系の変化など、様々な形で私たちの生活や社会経済に深刻な影響を及ぼす課題です。
特に、開発途上国や脆弱なコミュニティは気候変動の影響に対して脆弱であり、貧困の悪化や不平等の拡大につながる恐れがあります。
気候変動対策には、大きく分けて「緩和」と「適応」の2つのアプローチがあります。
「緩和」は、温室効果ガスの排出を削減し、気候変動の進行を遅らせることを目的としています。再生可能エネルギーの導入や省エネルギーの推進、森林保全などが緩和策に当たります。
一方、「適応」は、すでに起こりつつある気候変動の影響に対処し、被害を最小限に抑えることを目指します。具体的には、熱中症対策として、暑さ指数(WBGT)の活用や冷房設備の整備、災害対策として、堤防の強化や早期警戒システムの構築などが適応策として挙げられます。緩和と適応は、どちらも欠かすことのできない取り組みであり、両方を同時に進めていくことが重要です。
- 省エネ対策
- 再生可能エネルギーを選択
- 環境に配慮した暮らしの実践
- 熱中症対策
- 豪雨や台風などの災害対策
- 農作物や植物の高温障害対策
目標13には、すべての国々が気候関連災害や自然災害に対する強靭性と適応力を強化することや、気候変動対策を国別の政策や戦略に盛り込むことなどが設定されています。
そして、気候変動に関する教育や啓発を改善すること、開発途上国における対策実施のための資金を確保することも目指しています。
気候変動対策のためには、再生可能エネルギーの普及、エネルギー効率の改善、森林の保全と回復など、様々な取り組みが求められます。適応策の強化や、気候変動による損失・被害への対処、国際協力の推進なども重要です。
14海の豊かさを守ろう
SDGsの目標14は、「海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する」ことを目指しています。海洋は地球の表面積の7割以上を占め、気候の調整や食料の供給、経済活動など、私たちの生活を支える重要な役割を果たしています。
しかし、世界の海洋は汚染や乱獲、生息地の破壊など、様々な脅威に直面しており、生態系や生物多様性の損失が深刻化しています。また、海洋酸性化や海面上昇など、気候変動による影響も懸念されています。
目標14には、2025年までに、海洋汚染を防止し大幅に削減することや、海洋及び沿岸の生態系を回復させる能力を強化することなどのターゲットが設定されています。
また、過剰漁獲や違法・無報告・無規制漁業を終わらせること、海洋資源の持続的な利用による経済的利益を増大させることなども目指しています。
海の豊かさを守るためには、海洋汚染の防止、持続可能な漁業の推進、海洋保護区の拡大など、包括的なアプローチが求められます。
海岸の清掃活動に参加する、持続可能な水産物を選ぶ、海洋プラスチック汚染について学ぶことなどが挙げられます。
また、海洋保全に取り組む団体を応援したり、海との共生を大切にするライフスタイルを実践することも大切です。
15陸の豊かさも守ろう
SDGsの目標15は、「陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る」ことを目指しています。
陸上生態系は、私たちの生活を支える食料や水、木材など、様々な恵みを提供するとともに、気候の調整や土壌の保全、レクリエーションの場の提供など、多面的な機能を有しています。
しかし、世界の陸上生態系は、土地利用の変化や汚染、気候変動など、様々な脅威に直面しており、生物多様性の損失や土地劣化が急速に進行しています。
また、森林減少や砂漠化、野生生物の違法取引なども深刻な問題となっています。
目標15には、2020年までに、陸域及び内陸淡水生態系とその生態系サービスを保全・回復・持続可能な利用を確保することや、劣化した土地と土壌を回復することなどが設定されています。
また、持続可能な森林経営を推進すること、山地生態系の保全を強化すること、生物多様性の損失を阻止することなども目指しています。
森林保全活動に参加する、生物多様性に配慮した製品を選ぶ、土地の持続可能な利用について学び、自然との共生を大切にするライフスタイルを実践することも大切です。
16平和と公正をすべての人に
SDGsの目標16は、「持続可能な開発に向けて平和で誰もが参加できる社会を推進し、すべての人々が司法サービスを受けられるようにするとともに、あらゆるレベルで効果的で責任ある、誰もが参加できる制度を作る」ことを目指しています。
平和と公正は、貧困をなくしたり、教育や健康を改善したりするために欠かせない基盤であり、誰もが尊厳を持って生きることができる社会を実現するために必要不可欠です。
しかし、世界ではまだ紛争や暴力、差別や不平等が存在し、司法や行政サービスを受けられない人々も多くいます。
また、汚職や違法なお金の流れなど、政府の課題も持続可能な開発の障害となっています。
目標16には、あらゆる形の暴力や虐待、搾取を大幅に減らすことや、法律に基づく公正な統治を促進し、司法サービスを平等に提供すること、あらゆるレベルで効果的で説明責任のある透明性の高い政府機関を発展させることなどの目標が設定されています。
また、汚職や賄賂を大幅に減らすこと、子どもに対する虐待や人身売買をなくすことも目指しています。
平和と公正を実現するためには、誰もが参加できる意思決定、汚職防止、法律に基づく公正な統治の強化など、様々な取り組みが求められます。
また、平和構築や紛争予防、人権の保護と促進、市民社会の能力向上なども重要です。
差別や暴力を許さない姿勢を示す、平和や人権について学び、周りの人と話し合う、地域の意思決定に参加するなどが挙げられます。
また、平和構築や司法サービスの改善に取り組む団体を応援することも大切です。
このように、平和と公正をすべての人に提供することは、誰もが尊厳を持って生きることができる、誰もが参加できる社会を実現するために欠かせないのです。
17パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsの目標17は、「持続可能な開発に向けて実施方法を強化し、世界的なパートナーシップを活発にする」ことを目指しています。
SDGsを達成するには、政府や国際機関だけでなく、市民社会、民間企業、大学など、様々な関係者の参加と協力が欠かせません。
また、資金や技術、能力開発など、実際に目標を達成するための方法を強化することも重要な課題となっています。
目標17には、開発途上国への持続可能な開発に関する能力開発支援を強化することや、貿易のための援助を増やすこと、科学技術イノベーションへの協力を推進することなどの具体的な目標が設定されています。
また、官民パートナーシップや多様な関係者とのパートナーシップを推進すること、データや統計の質と利用しやすさを向上させることも目指しています。
パートナーシップを強化するためには、様々な関係者が参加できる場を提供し、対話と協力を促進し、お互いに利益のある関係を築くなど、幅広いアプローチが求められます。
また、資金や技術、知識の共有、お互いに学び合うことの促進、透明性と説明責任の確保なども重要です。
このように、パートナーシップで目標を達成することは、SDGsの理念である「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、私たち全員が力を合わせることの大切さを示しています。
SDGs達成に欠かせないエシカルな視点
SDGsの達成には、政府や企業、市民社会など、様々な立場の人々の参加と協力が不可欠です。しかし、それだけでは十分ではありません。SDGsの目標を真に達成するためには、私たち一人ひとりが倫理的な視点を持ち、自らの行動を見直すことが求められるのです。
ここで重要となるのが、「エシカル」という概念です。エシカルとは、倫理的、道徳的という意味を持ち、人や社会、環境に配慮した行動を指します。具体的には、フェアトレードの商品を選ぶ、環境に優しいライフスタイルを実践する、人権を尊重するなどの行動が挙げられます。
このエシカルな視点は、SDGsの多くの目標に深く関連しています。例えば、目標1の貧困撲滅や目標8のディーセント・ワークの推進には、労働者の権利を守り、公正な取引を行うことが不可欠です。目標12の持続可能な消費と生産には、環境負荷の少ない商品の選択や、食品ロスの削減などが求められます。
また、目標13の気候変動対策や目標15の陸上生態系の保全には、私たち一人ひとりが環境に配慮した行動を取ることが重要です。目標16の平和と公正の実現には、差別や暴力を許さず、人権を尊重する姿勢が欠かせません。
このように、SDGsの達成には、エシカルな視点が密接に関わっています。私たち一人ひとりが、日常生活の中で倫理的な選択を行い、社会全体でエシカルな価値観を共有することが、SDGsの目標達成に大きく貢献するのです。
エシカルについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
自分にできることから考えましょう
SDGsの17の目標は、お互いに関連し合っており、一体となって達成を目指すものです。目標を達成するには、私たち一人ひとりの行動の変化と、社会全体の変革が求められます。
SDGsの達成には、政府や企業の取り組みだけでなく、私たち一人ひとりの行動変容が不可欠です。
SDGsを自分ごととして捉え できることから着実に行動することが、より良い未来への第一歩となるのです。