秋のお月見と言えば十五夜を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。実は日本には「十三夜」というもう一つの月見があるのをご存知ですか?十三夜の存在は知っていても、その意味や楽しみ方がよくわからない…そんな方も多いかもしれません。

この記事では、十三夜の魅力や十五夜との違いなどをご紹介します。

十三夜とは:知っておきたいもう一つのお月見

十三夜は、十五夜と並ぶ日本の伝統的なお月見行事です。旧暦9月13日の夜に行われるこのお月見は、「栗名月(くりめいげつ)」とも呼ばれ、秋の風情を楽しむ大切な機会となっています。

多くの人が知っている十五夜に比べ、十三夜はやや知名度が低いかもしれません。しかし、日本の文化では古くから両方のお月見を楽しむ習慣があり、それぞれに独特の魅力があります。十三夜は十五夜から約1ヶ月後に訪れるため、秋の深まりとともに変化する月の姿や自然の移ろいを感じることができます。

今年の十三夜はいつ?

十三夜の日付は毎年変わりますが、通常は10月中旬から下旬の間に訪れます。これは、旧暦(太陰暦)と新暦(太陽暦)の違いによるものです。旧暦は月の満ち欠けを基準にしているため、新暦との間にずれが生じます。

十五夜が9月中旬から10月上旬に行われるのに対し、十三夜は約1ヶ月後となります。この時期の違いは、それぞれのお月見で楽しめる風景や雰囲気にも影響を与えています。十三夜は秋が深まった頃に行われるため、より涼しく静かな雰囲気の中で月を愛でることができるでしょう。

十三夜の由来:受け継がれてきた風習

十三夜の起源は平安時代にさかのぼります。当時の貴族たちが、美しい月を愛でながら和歌を詠む風習から始まったと言われています。その後、農耕行事としての意味合いも加わり、現在に至ります。

農耕との関わりでは、十三夜は収穫の時期と重なることから、豊作への感謝と翌年の豊作を祈願する意味も込められるようになりました。特に、栗の収穫時期と重なることから「栗名月」とも呼ばれるようになりました。

十五夜と十三夜:二つの月見の違い

十五夜と十三夜は、どちらも日本の伝統的なお月見行事ですが、いくつかの点で異なる特徴を持っています。これらの違いを知ることで、それぞれのお月見をより深く楽しむことができるでしょう。

まず、最も大きな違いは月の満ち具合です。十五夜は満月、十三夜は十三夜月(十三夜の夜に見える月)を観賞します。十三夜月は満月から少し欠けた状態で、この微妙な違いが独特の風情を醸し出します。

芋名月と栗名月

十五夜と十三夜には、それぞれ「芋名月(いもめいげつ)」と「栗名月(くりめいげつ)」という別名があります。これらの名称は、各時期に収穫される代表的な農作物に由来しています。

十五夜は「芋名月」とも呼ばれ、サツマイモや里芋などのイモ類の収穫を祝う意味合いがあります。一方、十三夜は「栗名月」と呼ばれ、栗の収穫時期と重なることからこの名がつきました。

この違いは、お供え物の選び方にも反映されます。十五夜には里芋やサツマイモをお供えすることが多いのに対し、十三夜には栗をお供えする風習があります。

お供え物の選び方:十三夜ならではの風情

十三夜のお供え物は、十五夜とは少し異なる特徴があります。主な違いと、十三夜ならではのお供え物を見ていきましょう。

  1. 月見団子:十五夜では15個、十三夜では13個お供えするのが一般的です。
  2. 栗:十三夜の代表的なお供え物です。「栗名月」の名の通り、旬の栗を供えます。
  3. 枝豆:栗と同様に、この時期が食べごろの枝豆をお供えすることも多いです。このことから「豆名月」と呼ぶことも

これらのお供え物を通じて、十三夜ならではの秋の風情を楽しむことができます。地域や家庭によって違いがあるので、自分なりのアレンジを加えるのも良いでしょう。

「片見月」を嫌う風習

日本の伝統的な月見文化には、「片見月(かたみづき)」を避けるとい風習があります。「片見月」とは、十五夜と十三夜のどちらか一方だけを見ることを指します。この「片見月」は縁起が悪いとされ、できるだけ避けるべきだと言われてきました。

現代では、この風習を厳密に守る人は少なくなっているかもしれません。しかし、この機会に十五夜だけでなく十三夜も楽しむことで、より豊かな秋の体験ができるはずです。

まとめ:十五夜と十三夜、二つの月見で秋を満喫

日本の伝統的な文化において、十五夜と十三夜は共に重要な行事です。これら二つのお月見には、それぞれ独自の魅力と意義があります。

十五夜は、満月の美しさを堪能し、初秋の訪れを感じる機会です。一方、十三夜は秋の深まりとともに、より静謐な雰囲気の中で月を愛でることができます。両方のお月見を楽しむことで、秋の移ろいをより深く味わえるでしょう。

今年の秋は、十三夜のお月見も楽しんでみてはいかがでしょうか。