毎年のように各地で発生する豪雨災害は決して他人事ではありません。梅雨に入ろうとするこの季節から、大雨に対する警戒が必要になります。
こちらの記事では、大雨に備える具体的な方法をわかりやすくお伝えします。
毎年のように大雨の被害は起こります
近年、日本各地で大雨による被害が頻発しています。毎年のように梅雨の時期や台風シーズンになると、各地で大雨に見舞われ、河川の氾濫や土砂崩れ、浸水被害などが発生しています。
特に最近では、地球温暖化の影響もあり、局地的な豪雨や線状降水帯などによる記録的な大雨が増加傾向にあります。
こうした大雨は、私たちの生活に大きな影響を与えます。住宅の浸水被害や土砂崩れによる交通障害、ライフラインの寸断など、様々な被害が発生し、時には人的被害も生じかねません。
ここでは、近年の豪雨の増加傾向と、大雨が発生しやすい時期について詳しく見ていきます。
近年は豪雨が増えている
近年、日本各地で記録的な大雨が観測されるようになっています。1時間に80ミリ以上の猛烈な雨が降る回数は、30年前と比べて約1.5倍に増加しているとの報告もあります。
特に、2018年7月の西日本豪雨、2020年7月の九州豪雨など、各地で甚大な被害をもたらした豪雨災害が相次いでいます。
こうした豪雨の増加には、地球温暖化の影響が指摘されています。地球温暖化により海水温が上昇すると、大気中の水蒸気量が増加し、大雨が発生しやすくなります。
また、都市化の進展により、地表面がアスファルトやコンクリートで覆われ、雨水の浸透が妨げられることも、豪雨災害のリスクを高める要因の一つと考えられています。
大雨による被害を最小限に抑えるためには、日頃からの備えと適切な避難行動が欠かせません。
大雨の発生しやすい時期
日本は、梅雨や台風の影響を受けやすい気候条件にあるため、大雨の発生しやすい時期があります。特に注意が必要なのは、以下の時期です。
- 6月から7月にかけての梅雨の時期
- 8月から10月にかけての台風シーズン
梅雨の時期は、前線の影響で長雨が続き、総雨量が多くなる傾向があります。また、梅雨前線が停滞すると、局地的に大雨が降ることがあります。
一方、台風シーズンには、発達した台風が日本に接近・上陸し、暴風を伴った大雨をもたらすことがあります。台風に伴う大雨は、総雨量が多いだけでなく、短時間に激しい雨が降ることが特徴です。
これらの時期は、大雨による災害のリスクが高まるため、気象情報に注意し、早めの避難行動を心がける必要があります。また、普段から大雨への備えを怠らないことが重要です。
事前にできる備え
大雨による被害を最小限に抑えるためには、日頃からの備えが欠かせません。しかし、いざという時に慌てないためには、具体的にどのような準備をしておけばよいのでしょうか?
大雨に備える上で重要なのは、食料品や飲料水の備蓄、非常用持ち出し袋の準備です。これらを事前に用意しておくことで、万が一の際に必要な物資を速やかに持ち出すことができます。
また、備蓄品の管理も大切です。定期的に備蓄品の賞味期限をチェックし、古くなったものは計画的に消費・交換していく必要があります。
非常時に備えた準備は、日頃から少しずつ進めていくことが重要です。ここでは、食料品と飲料水の備蓄、非常用持ち出し袋の準備について、具体的なポイントを解説します。
食料品と飲料水の備蓄
大雨による被害が発生した場合、ライフラインが寸断される可能性があります。
そのため最低でも3日分、できれば1週間分の食料品と飲料水を備蓄しておくことが推奨されています。
備蓄する食料品は調理の必要がなく、常温で保存できるものが適しています。例えば、以下のようなものが挙げられます。
- レトルト食品や缶詰
- フリーズドライ食品
- 長期保存可能なお菓子類
- 粉ミルクや離乳食(乳幼児がいる家庭)
飲料水は、1人1日3リットルを目安に備蓄します。最低の3日分として1人あたり9リットルの備蓄が必要になります。
備蓄品は定期的にチェックし、賞味期限が切れる前に食べるか、新しいものと交換するようにしましょう。
非常用持ち出し袋の準備
大雨によって避難が必要になった場合、非常用持ち出し袋があれば速やかに避難することができます。持ち出し袋は、リュックサックなど両手が空くタイプのものが適しています。
非常用持ち出し袋には、以下のようなものを入れておきましょう。
- 飲料水と食料品
- 懐中電灯と予備の電池
- ラジオ
- 救急医療品
- 現金(小銭も含む)
- 衣類や下着
- 身分証明書のコピー
- 常備薬
持ち出し袋は家族全員分を用意し、すぐに持ち出せる場所に保管しておくことが重要です。また、定期的に中身をチェックし、古くなったものは交換するようにしましょう。
非常用持ち出し袋を準備しておくことで、いざという時に慌てずに避難することができます。日頃から備えを怠らないことが、大雨災害から身を守る第一歩となるのです。
避難場所や避難経路の確認
大雨による被害に備える上で、自宅周辺の避難場所や避難経路を確認しておくことは非常に重要です。いざという時に慌てずに避難するためには、普段から避難場所への道順を把握し、実際に歩いてみることが効果的です。
避難場所は、自治体が指定する学校や公民館などの公共施設が一般的ですが、地域によって異なる場合もあります。また、避難経路は浸水や土砂崩れのリスクが低い道を選ぶことが重要です。
避難場所や避難経路はハザードマップで確認することができます。ハザードマップは、自治体のWebサイトや防災マップアプリなどで入手可能です。お住まいの地域のハザードマップを確認してみてくださいね。
また、避難場所への経路上にある危険箇所についても把握しておく必要があります。例えば、がけ崩れや土石流のおそれがある斜面、増水した川、冠水しやすい道路などです。避難経路上の危険箇所を事前に確認し、避難時には絶対に近づかないようにしましょう。
飛ばされそうなもの・排水溝などの確認
大雨による被害を最小限に抑えるためには、自宅周辺の点検も欠かせません。特に、強風によって飛ばされそうなものや、排水溝の詰まりなどは、早めに対策を講じる必要があります。
強風によって飛ばされる可能性があるものとしては、以下のようなものが挙げられます。
- ベランダや庭に置いてある植木鉢や置物
- 屋根の上の瓦やアンテナ
- 自転車やバイク
これらのものは事前に屋内に移動させるか、しっかりと固定しておくことが重要です。飛ばされたものが、窓ガラスを割ったり、通行人にけがを負わせたりする可能性があるためです。
また、排水溝の詰まりも、大雨による浸水被害を引き起こす原因の一つです。排水溝の詰まりは、大雨の際に水はけを悪化させ、道路冠水や家屋浸水の原因となります。普段から排水溝の清掃を行い、ゴミや落ち葉などを取り除いておくことが大切です。
さらに、屋根や外壁の点検も重要です。屋根の漆喰や瓦のずれ、外壁のひび割れなどは、大雨の際に雨漏りを引き起こす原因となります。普段から点検を行い、必要に応じて補修しておくことが大切です。
自宅周辺の点検を行い、飛ばされそうなものや排水溝の詰まりなどに早めに対策を講じることで、大雨による被害を最小限に抑えることができるのです。
【緊急時】大雨による被害を抑える方法
いざ大雨による災害が発生した場合、私たちはどのように行動すべきでしょうか。大雨による被害を最小限に抑えるためには、適切な避難行動が欠かせません。
特に、自治体から避難勧告や避難指示が発令された場合は、速やかに指定された避難場所へ避難することが重要です。避難勧告や避難指示は、気象状況や災害リスクを総合的に判断して発令されるため、それらに従うことが身を守る上で最も効果的な方法と言えます。
ここでは、緊急時の避難行動について、具体的なポイントを解説します。
避難指示などに速やかに従う
大雨による災害が発生した場合、自治体から避難指示が発令されることがあります。避難指示が発令された場合は、速やかに指定された避難場所へ避難することが重要です。まだ大丈夫だろうと思って避難を遅らせると、被害に遭うリスクが高くなります。
避難勧告と避難指示
これまで避難勧告と避難指示という言葉が使われていました。しかし、避難指示は令和3年5月で廃止されています。警戒レベル4避難指示が出たら安全な場所へ全員避難するようにしましょう。
警戒レベル5までいくと、すでに安全な避難ができず命が危険な状態になります。緊急安全確保の発令を待たず、速やかに避難しましょう。
避難する際は、事前に用意した非常用持ち出し袋を持って、安全な経路で避難場所へ向かいましょう。避難経路は、浸水や土砂崩れのリスクが低い道を選ぶことが大切です。
また、避難所での生活に備えて、必要な物資を持参することも重要です。避難所では、食料や毛布などが配布されますが、数に限りがあります。可能であれば、非常用持ち出し袋に、食料品や飲料水、毛布、着替えなどを入れて持参しましょう。
避難勧告や避難指示が発令された場合は、速やかに避難行動をとることが何よりも重要です。普段から避難場所や避難経路を確認し、いざという時に備えておくことが大切なのです。
避難の際は複数人で行動を
大雨による災害が発生し避難が必要になった場合、できるだけ複数人で行動することが重要です。一人で避難することは様々なリスクを伴います。
例えば、避難経路上で転倒したりケガをしたりした場合、一人では助けを求めることが難しくなります。また、浸水した道路では、水の深さや流れの速さを正確に判断することが難しく、一人で歩くと危険です。
複数人で避難することで、互いに助け合いながら安全に避難場所へ向かうことができます。特に、高齢者や障がいを持つ方、小さな子供がいる場合は、必ず複数人で避難しましょう。
また、避難する際は、周囲の状況に注意を払うことが大切です。建物の倒壊や土砂崩れ、川の氾濫などの危険が迫っていないか、常に確認しながら避難することが重要です。複数人で避難することで、こうした危険を早期に発見し、回避することができます。
両手は空けておく
避難する際は、両手を空けておくことが重要です。両手に荷物を持っていると、バランスを崩しやすくなり、転倒するリスクが高まります。
また、両手に荷物を持っていると、急な障害物や水たまりを避けることが難しくなります。特に、浸水した道路では、水の抵抗を受けて歩くことが困難になるため、両手は空けておく必要があります。
避難する際は、非常用持ち出し袋をリュックサックなどに入れ、背負って移動しましょう。リュックサックであれば、両手を自由に使うことができ、バランスを取りやすくなります。
両手を空けておくことは、避難する際の安全を確保する上で非常に重要です。
普段から非常用持ち出し袋をリュックサックに入れて準備しておくことで、いざという時にスムーズに避難することができます。
家族で話し合うべきこと
大雨による災害に備えるためには、家族で事前に話し合っておくことが重要です。いざという時に、家族全員が安全に避難するためには、日頃から防災について話し合っておく必要があります。
ここでは家族で話し合っておくべきポイントについて、具体的に解説します。
連絡方法と集合場所の確認
大雨による災害が発生した場合、家族が別々の場所にいることもあります。そのような時でも、安全に避難するためには、家族間の連絡を密に取ることが重要です。
普段から、家族間の連絡方法を複数確保しておくことが大切です。例えば、以下のような連絡手段を用意しておくことをおすすめします。
- 携帯電話やスマートフォン
- SNSアプリ(LINE、TwitterなどDM機能があるもの)
- 災害用伝言ダイヤル(171)
- 災害用伝言板サービス(web171)
また、家族が離ればなれになった場合の集合場所も事前に決めておく必要があります。集合場所は、自宅から避難する際の一時的な待ち合わせ場所と、避難所での集合場所の2つを決めておくことをおすすめします。
集合場所を決める際は、以下の点に注意しましょう。
- 自宅から避難する際の集合場所は、自宅から徒歩圏内で、浸水や土砂崩れのリスクが低い場所を選ぶ
- 避難所での集合場所は、避難所内のわかりやすい場所(受付近くなど)を選ぶ
- 集合場所までの経路は、複数のルートを確認しておく
家族間の連絡方法と集合場所を事前に確認し、いざという時にスムーズに行動できるよう備えておくことが重要です。
情報収集サイト
SNSなどではデマや誤報も多くあるので、情報収集をする場所には注意が必要です。気象情報、災害に関する情報を提供している信頼のできるサイトをご紹介いたします。
情報の種類 | 情報収集先 | ||
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気象に関する情報 | 台風の位置、強さ、大きさの実況や予報に関する情報 | 気象庁「台風情報」 https://www.jma.go.jp/jp/typh/ | |
大雨・洪水警報及び注意報の発表状況 | 気象庁「気象警報・注意報」 https://www.jma.go.jp/jp/warn/ | ||
竜巻、ダウンバースト等激しい突風に関する情報 | 気象庁「竜巻注意情報」 https://www.jma.go.jp/jp/tatsumaki/ | ||
各区域での降雨状況・降雨予測 | 解析雨量 降水短時間予報 | 気象庁「解析雨量・降水短時間予報」 https://www.jma.go.jp/jp/kaikotan/ | |
レーダー雨量・降水ナウキャスト | 気象庁「レーダー・降水ナウキャスト」 https://www.jma.go.jp/jp/radnowc/ | ||
東京都下水道局「東京アメッシュ」 https://tokyo-ame.jwa.or.jp/ | |||
河川に関する情報 | 雨量・河川水位現況 | 国土交通省「川の防災情報:関東」 https://www.river.go.jp/portal/#83 | |
東京都建設局「水防災総合情報システム」 http://www.kasen-suibo.metro.tokyo.jp/im/tsim0101g.html | |||
指定河川洪水予報 | 気象庁「指定河川洪水予報」 https://www.jma.go.jp/jp/flood/ | ||
土砂災害警戒情報 | 気象庁「土砂災害警戒情報」 https://www.jma.go.jp/jp/dosha/ |